grappa di bassano | 使いみちのない風景

grappa di bassano

三宿にまたひとつ、バーがお目見えした。


店先に掛かったイタリアの国旗が目立ち、

一見ただのイタリアンバーかと思わせるが、

現地イタリアのバールをイメージして作られたというそのバーは

恐らく日本で最も豊富なグラッパを飲ませる店だ。

洞窟のような作りの小さな店内には、カウンター越しに

目見おもしろく個性的なグラッパの瓶が並んでいる。


    bassano2

イタリアに魅せられ、池尻に2店のオステリアを持つオーナーシェフが

毎年イタリアに足を運んでは買い集めてきたものばかり。

日本ではなかなかお目にかかれないご当地物も多く、

飲んでしまったら終わりというのも心憎い。

グラッパを飲んだことがなくても、好みを言うと百数種類の中から

マスターがいくつか薦めてくれる。

ブランデーなのでアルコールは強いが、

喉を通るときの一瞬焼けるような感触と、同じくらい強く嗜好に訴えてくる

葡萄の味わいは、何杯か頂くともう癖になってしまいそうだ。


     bassano1

ともすればマニア好みかと思われそうだが、

ビール好き、ワイン好きをも十分に楽しませる品揃えは

他ではなかなか無いこだわりを見せている。

料理はイタリアの惣菜を小皿で出してくれるチープなものから

珍しい内臓料理、もちろんパスタもある。

なかでも肉のパテの原型であるらしい、“レバーのガイエット”は絶品だ。

それに、種類豊富なイカスミ料理。

これが実はヴェネツィアの名物らしい。


水の都、運河の街と呼ばれるヴェネツィア。

そこから北西に約一時間ほど、

BASSANO DEL GRAPPAというグラッパで有名な小さな都市がある。

この街をそのまま店名に冠した、“grappa di bassano”


三宿の交差点から少し手前、池尻よりの路地を右折すると

3つのバーが軒を並べている。

その真ん中、ドアが広く開け放たれ、1時を過ぎても

ひときわ明るい光と音楽が漏れてくる。

料理、お酒、そのこぢんまりさにくすぐられ、

「見つけちゃって嬉しい」と思わせられる味なバールにも一票投じたい。