春の月 | 使いみちのない風景

春の月

今日関東では春一番の襲来。
家の外に出た瞬間の暖かさに
一気に春が近づいていたことを思い知らされた。

もうコートを着ない人や、道端に生え始めたみどりの草や
目にするもの、肌で感じる陽気に
自分の奥にある春の記憶をつつかれて、
「春」が実感に変わる

梅林 寒桜 つぼみ 朝霧
あぜ道 ふきのとう 陽だまり
また春が来る

学生の頃に滲み付いた感覚なのだろうが、
生活という尺度でみると
一年は春に始まり、春に終わるという気がする。
春の訪れを感じると、
暖かくて、花が咲いて、緑が芽吹いても何故か寂しい気持ちに
なるのはそのせいだろうか。

冬から春へ。
空気が冷たくて、身を切るような寒さのなかで
温かい缶コーヒーにすがりほっとしていたのに
自分を取り囲む陽気への移り変わりについていけず
季節に追い越されてしまったような気になるからかもしれない。
 
そういう春の始まりは、
夜になって寒さの名残が顔を出すと
部屋で暖房をつけあたたまりながら、
少し安心してしまう。